Dense2's Blog Weekly

~『週刊電説』【Just Another KissBlog】

★『メディア論』の極み…ココまで言うかっ!?

佐々木俊尚氏がまたまた”過激“な本を書きました。梅田望夫氏がどちらかと言えば、海の向こうのシリコンバレーからの《IT-WEBへの楽観的な礼賛論者》なのに対し、佐々木氏は元新聞記者であるが故の《IT-Mediaへの悲観的な現実論者》といったスタンスを保ち、好対照をなしています。まァ、これからメディア界を”侵食“していく側のIT-WEB業界からすれば、新聞・テレビなどのマスメディア従事者には何とも危機感が足りないということに対する警告の書でもありますね。

『2011年 新聞・テレビ消滅』画像

・佐々木俊尚:『2011年 新聞・テレビ消滅』〔文春新書#708;2009-07-20〕
~タイトルからして、何とも”過激“かつ”挑発的“なものである。だが、日常生活で新聞やテレビなどを注意深く観察していると、佐々木氏の主張はあながち荒唐無稽なものではないし、さほどセンセーショナルなものではないことが分かってくる。そう言えば、NHKの集金人は来ても新聞の勧誘員は来なくなったなァ!?とか、テレビのCMが微妙に短く【殆どがクォーターと呼ばれる”15秒CM“】なり、いわゆる番宣の挿入が増えているなァ!?とか。それも、飲料メーカーなど季節商品ものが大勢を占める一方で、《地デジ関連広告》が増えているし、それこそ公告も増えた。【もっとも、今夏は選挙モードだから致し方ない面もある】

  • メディアに対する”視聴スタイル“の変遷
  • ~そう言えば、去年の今頃来た新聞勧誘員が語っていた。「ご近所でも、最近、すごい勢いで新聞の購読を止めていっています…それも、お年寄りがね」と。専業主婦層はチラシ欲しさに新聞を取っていたという話も今は昔。スーパーのチラシは携帯やPCでも見られる世の中になった。【《Shufoo!》(しゅふー)やケータイ配信のスーパーのメルマガなど】最後の砦と言えるお年寄りが新聞を取らなくなるとは、これはもう末期症状と言えるのではなないだろうか!?【お年寄りなどシニア層は早起きなので、散歩も兼ねて駅前のスタンドへ新聞を買いに行くのが習慣にもなっているし、もっと言えば、アクティブ・シニア層までもが携帯やネットを使いこなすようになってきたことの現われでもあるのでしょう!?】

  • いわゆる”マスの消滅“という現象
  • ~今からおよそ25年ほど前の”バブルピーク期“には、「少衆・分衆論」が盛んだった。電通のPR局長だった藤岡和歌夫氏が提唱したものだが、”昭和元禄“と呼ばれる空前の消費ブームの中、一見冷や水を浴びせかけるようなこの考え方は、消費の記号化差異化というコトバまで産み出した。とは言え、それはあくまでも広告代理店などが流行やブームを創り出し先導する…という前提条件付でのことだった。今現在、そうした創り出された流行や仕掛けられたブームにホイホイと乗ってくれる消費者は皆無である。【そもそも消費者ではなく、「生活者」という用語が正しいのだという一種の神学論争紛いの議論もあった】メディアのリーチ先であるマスが消滅したのだから、(マス)メディアのあり方も変わらざるを得ないのに、現実はそうはならず、21世紀の”デジタルエイジ“を迎えてしまったのである

  • (マス)メディアの”プラットフォーム“が液状化【多様化】している…という現実
  • ~これは、グーグルの及川卓也氏の説明によるものである。氏によれば、(マス)メディアの構造は三層構造になっているのだと言う。【これは、頭文字をとって”3C構造“とも言われるらしい】

    • 新聞なら -
    • コンテンツ:新聞記事
      コンテナ:新聞紙面 → ニュース・ポータル検索エンジンブログ2ちゃんねるなどへ…
      コンベヤ:販売店 → インターネットへ…

    • テレビなら -
    • コンテンツ:(テレビ)番組
      コンテナ:テレビ → テレビ、ケータイゲーム機パソコンなどへ…
      コンベヤ:地上波、衛星放送、CATV → 電波ケーブルテレビインターネット(ブロードバンド)などへ…

    ※これは、これまでの新聞社やテレビ局のプラットフォーム基盤】としてのメディア産業への独占が崩れ【だからこそ、”マスコミ“すなわち「ブロードキャスティング」が成り立っていたのだが…】、主戦場が”コンテナ“【メディアの搬送体】へと移ってきていることを象徴している出来事で、”情報のデジタル化“がこの傾向に拍車をかけると予想されています。そして、逆戻りはあり得ないことなのです

  • 新聞界の今後は!?
  • ~元新聞記者だけあって、新聞界についてはテレビ界の倍近くもページを割いている。そして、文化革命の歴史における冷徹な現実だとして、「新聞の敗戦」を位置付けている。だが、ココまで悲観することはないと思う。確かに、新聞を買う人は減ったけれども、新聞記事を読んだり活用する人たちは間違いなく増えているのだから…言わば、新聞というコンテンツの”利用形態“が変わったに過ぎない。なので、”プレス“という職業がなくなる訳でもないし、真に価値ある情報を読者の望むスタイルで届けられるよう、《発想の転換》をすべきなのだろうとは思う。ちょうど、写真屋さんがホーム・パブリッシング(ホーム・プリンター)の普及の際、それを逆手に取って《オフィス・デポ》のような業態へと鞍替えし生き延びたように…デジタル情報の特徴は、「コピーコスト=0」であることを利用し、あらゆる”デジタル・パブリッシング“のニーズに応えようとした試行錯誤の結果の副産物だった。【特に、新聞販売店の経営者の人たちは、このことに注目すべきだとも思うし、巷を騒がせている「コンビニFCの本部と加盟店の問題」も、実は、新聞界で起きている問題と根っこは同じであると感じている】

  • テレビ界の今後は!?
  • ~むしろ、悲惨なまでに問題なのはこのテレビ界のほうかもしれない。何故なら、同じ”デジタルメディア“を扱う《音楽界》成功例があるからだ。周知の通り、音楽界でのコンテナはAppleのiTunes Storeに、コンベヤインターネットに、それぞれ取って代わられつつあり、テレビ界では、事実上のコンテナTouTubeニコニコ動画などのITベンチャー企業に、コンベヤインターネットになりつつある。【まだ、”著作権“上の問題はクリアされていないが、アメリカでは”ビジネス・パートナー“として業務提携の動きが顕著であり、この方式により、メジャーレーベルはむしろ収益力をアップさせながらの業容回復に成功したのである】
    ~そして、もう一つの本質的な問題である、”電波利権(電波行政)“の問題…こちらのほうが見過ごせない悩ましい難題になりつつあるのだ。それは、2011年《完全地デジ化》がなされ《情報通信法》が施行される…ということだ。先ず、《完全地デジ化》の本質を因数分解すると、一つはテレビのコンベヤがアナログの地上波からデジタルの地上波へ変わるということと、場合によっては【離党や山間部などの”難視聴地域“では】NTTの光ファイバーCATV等の代替手段に頼らざるを得なくなるということである。この後者の視聴方式は、いわゆる《ネット視聴》のスタイルであり、図らずも、「テレビはパソコンとインターネットでも見られる」という事実を一般に知らしめる結果ともなった。次に、《情報通信法》施行の本質はこうだ。単純化して言えば、「これまで、テレビは”放送法“で、電話やネットは”電気通信事業法“でと、メディアによって分かれていた法律を一本化してしまう」ことである。つまりは、テレビの”コンテンツ“をオープン化するということ。これによって、現在、テレビ局がメディアの”三層構造“【3C構造】の全てを握る独占状態は崩れ、今後、この開放されたコンテナコンベヤなどを巡り、激しい《プラットフォーム争奪戦》が起こるであろうと予想されている。【逆から見れば、テレビ局は、単なるコンテンツ・メーカーの地位に留まるしかなくなるかもしれない!?ということ】その前哨戦として、ゲーム機メーカーの任天堂Wiiで、ネット企業のGoogleが携帯電話用OSのAndroidで、それぞれ、次世代”STB“【セット・トップ・ボックス】の世界標準化を虎視眈々と狙っているとされる。
    ~もう一つ、《完全地デジ化》《情報通信法》施行に関しては、大きな”矛盾点“が残されている。従来の”電波法“ではユニバーサル・サービス【全国どこでもあまねく等しいサービスを行き渡らせること】をうたい文句としてしていただけに、電波は国家の財産【公共財】としてテレビ局など事業者は”電波料“を支払いメディア企業としての権利を買っていた。しかしながら、”放送法“では区域外再送信が制限され、「再送信は同一区域(エリア)内に限る」という妙なことになっていて、特に、民放の東京キー局と地方のCATV局などと頻繁に係争の種となっている。【さらには、CATV局は各都道府県に1社に限るという法令の縛りが事態をややこしくしている】ただ、来る2011年《完全地デジ化》によって、いわゆる「タイムシフト」「プレイスシフト」「スタイルシフト」という《TPSシフト》が起きるとされているだけに、この紛争もほどなく雲散霧消してしまうのかもしれないが…

2009年 8月 5日 Posted by | Business, IT-WEB | , , , , , , , , , , | コメントを残す

☆『クラウドソーシング』〔ヒューマンネットワークの夜明け〕

※『クラウドソーシング』:はしがき〔ヒューマンネットワークの夜明け〕より

  • 二人のジェイク
    • 『スレッドレス・ドットコム』
    • ~”二人のジェイク”、すなわち、ジェイク・ニッケルジェイコブ・デハートという二人の大学中退者は、2000年頃、自分たちで”デザイン・コンテスト“の会社を興した。数ヵ月後、『スレッドレス・ドットコム』というWEBサイトを立ち上げ、デザイン投票⇒優勝者へは商品化&販売権を付与というシンプルな方式で、瞬く間に《Tシャツ・コンテスト・コミュニティ》を成長させていく。特徴的なのは、全くの”アマチュア同好会“でありながら、(ITベンダーなどを除けば)プロや業者の手を借りていないことにある。

  • 偶然の経済
    • 『アイストックフォト』
    • ~”二人のジェイク”がTシャツのビジネスを始めた頃、”ブルース・リヴィングストン“も新しい事業に乗り出していた。『アイストックフォト』というWEBサイトを中心として《写真コミュニティ》が育まれていった。ココの特徴は、写真の使用料を通常のプロサイトでの価格の”1/100“程度に抑えたことと、その使用料をサイトと撮影者【著作権者】との間で”折半“したことである。【後に、”ゲッティ・イメージ“社に買収されるが、これは、YouTubeGoogleに買収されたケースと似た例だった】

    • 《デジタル・ネイティブ》の出現
    • ~これは、”未来学者“のアルビン・トフラーがその著書:『第三の波』の中で予言した、”プロシューマー“の登場に等しいものがある。すなわち、消極的(受身的)消費者から”積極的(参画的)発信者“へ…という流れである。しかも、この流れは、現在の「十代」【ティーン・エージャー】を中心として、確実に成長しながら力強いトレンドになっていっている…とされています。

    • 《ユーザー生成コンテンツ》の隆盛
    • ~例えば、”コンバース・ギャラリー“という広告キャンペーンなどのように、製品メーカーの広告代理店がその消費者たちのような一般”ユーザー“から広告を募り投稿させるとか、素人起点の”UGC“【User Generated Contents】や”CGM“【Consumer Generated Media】を取り入れる企業が増えていること。これこそが、”ニューメディア“だともてはやされている。

    • こうした状況が生まれる動因として -
      1. 生産コストが安いこと
      2. 行き場のない才能や創造性が持て余されていること
      3. インターネット上に同好の士のコミュニティが築かれていること
    • などが挙げられています。

    • ソフトウェア開発における《オープンソース・ムーブメント》との融合
    • ~OSの”リナックス“しかり、サーバーソフトの”アパッチ“しかり、ウェブブラウザーの”ファイアフォックス“【モジラ】しかり…「情報経済」のインフラの多くはこうした”ボランティア“の集団によって作られ支えられてきた。つまり、かつては、企業の正社員だけが手がけていた仕事を、大抵は低賃金で、あるいは無償で、集団として完成させるわけである。そして、人間に関する重大な真実として、しばしば企業よりもコミュニティのほうが効率良く仕事を進められるということが明らかになってきました。

    • P&Gの挑戦
    • ~創業から160数年を経たかつての優良企業:プロクター・アンド・ギャンブルP&G】は2000年半ばに苦境に立たされた。画期的な新製品を作れなくなり、株価は50%も下落、この緊急事態に新任のCEO:A・G・ラフリーを迎え経営の舵取りを任せる賭けに出た。彼は、「開放せよ」をスローガンに販売部門と研究開発部門、エンジニアリング部門とマーケティング部門を隔てる壁を取り払うと同時に、会社と仕入先、小売店、顧客との間の壁も取り払った。その上で、”《オープンソース》の開発手法を採り入れ、退職した研究員のコミュニティ・サイト:『ユア・アンコール』の開設に手を貸し、さらに、東欧・中国・インドなどの国々での知的資本推進エンジンとなりつつあった『インノセンティヴ』と呼ばれる、14万人の科学者からなるネットワークを活用することにした。これらの戦略はズバリ当たり、株価はそれまでの最高値を上回り、純利益は2007年に以前の3倍(100億ドル)を稼ぐまでに復調しました。【”IBM“はこの手法に早くから着目し、『アイデアジャム』というサイトを立ち上げています】

    • アメリカらしい「正しい民主的手続き」の復権として…
    • ~これは、サン・マイクロシステムズの共同創立者:ビル・ジョイによって最初に指摘された、「誰であろうと関係ない。頭のいい人びとの殆どは他人のために働く」という革新的な真理を、《功・利他主義》という超・楽観的なレベルにまで信じようとする、いかにもアメリカ人らしいメンタリティでもあります。

  • 小さいパーツの革命
  • クラウドソーシングはインターネットと密接に関わっているが、その本質はテクノロジーには関係ない。それよりも重要なもの、興味深いものはテクノロジーによって生じる行動であって、特に、インターネットを介して沢山の人々が団結し、(自己)組織化して、生き生きと、パワフルに活動する可能性が出現しつつある…ということです。”Wikipedia“というネット上の百科事典の編纂にその片鱗は見られたが、最近では、『SETI@home』【JP】という”地球外生命体探索PT“への応用がその好例です。これは、一時もてはやされた”グリッド・コンピューティング“【分散コンピューティング】の考え方に似ていますが、インターネットをシステムの基盤【プラットフォーム】に据えた点でクラウドソーシングのほうがよりダイナミックであると言えるでしょう。
    そして、この考え方の優れている点は、一般人の”スペアサイクル“【空き時間などの余剰処理能力・リソース】を拝借している…というところです。たまたまではありますが、今後、世界的に”ダブルワーク“や”トリプルワーク“などの《マルチタスクの時代》が恒常化していくトレンドの中、人間はようやくコンピューターの”クロック・サイクル“に合わせた働き方を得られるようになったと言えるのかもしれません。ネットには”常時接続“しているけれども、コンピューターを操作するのは”スペアタイム“で…というこのスタイルは、忙しい現代人には打ってつけなのかもしれませんね。

  • 結びとして - ヒューマンネットワークの明るい未来
  • ~インターネットは人々を孤立させる…という不吉な予言とは裏腹に、クラウドソーシングはインターネットのテクノロジーを利用し、様々な土地で、様々な背景の下に暮らしている人々に、団結し、意義ある交流をする機会を提供しつつある。また、クラウドソーシングは、もう一つの関係を築きもする。それは、”企業と顧客との協力関係“である。
    そして、《マズローの欲求五段階説》に示されているように、人々は自分の才能を養うことや、自分の知識を誰かに教えることには大きな喜びを感じる。【”自己実現・表現欲求“としてのコミュニティーへの”貢献意欲“の発露】クラウドソーシングでは共同作業そのものが”報酬“となる”善循環“が生まれつつある…としています。
    また、クラウドソーシングは、まさかと思うような所から才能ある人々を引っ張り出すという不思議な傾向を持っていて、大掛かりな”才能発掘装置“のような様相を呈しつつあり、これはまさに、《ロングテール現象》のより”純化“した形だと言えるでしょう。【”YouTube現象“がその際たるもの】
    この点で、クラウドソーシングは、文字通り、地球の”フラット化“を加速する推進エンジンでもある…としています。【コールセンターの相次ぐ”BRICs移転化“などに顕著な現象】

『スレッドレス・コム』スクリーンショット:M-250

『アイストックフォト』【JP】スクリーンショット:M-250

『インノセンティヴ』スクリーンショット:M-250

『SETI@home』【JP】スクリーンショット:M-250

『BBC World News』スクリーンショット:M-250

『キヴァ』スクリーンショット:M-250

『セラバンド』スクリーンショット:M-250

『アサインメント・ゼロ』スクリーンショット:M-250

2009年 7月 4日 Posted by | Business, Economy, IT-WEB, Psychology | , , , , , | コメントを残す

保護中: 『クラウドソーシング - みんなのパワーが世界を動かす」』〔続〕

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2009年 6月 29日 Posted by | Business, Economy, IT-WEB, Psychology | , , , , , | コメントを読むにはパスワードを入力してください。

『クラウドソーシング - みんなのパワーが世界を動かす』

☆早川書房から、意欲的かつ挑戦的な新書:”ハヤカワ新書juice“が刊行されました。その第一号が、『クラウドソーシング』です。最近、何かとIT-WEB業界を騒がせる”クラウド“というコトバですが、同じクラウドでも、”cloud“【雲海】ではなくて、”crowd“【群衆】のほうです。言わば、”集合知“【Collective Intellect】としての《群衆の叡智》に期待する、楽観的な文明批評本でもあります。

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2009年 6月 29日 Posted by | Business, Economy, IT-WEB, Psychology | , , , , , | コメントを残す

『ドトールコーヒー 「勝つか死ぬか」の創業記』

※職場の近所に昨日6/1(月)、ドトールコーヒーの新店がオープンしました。だからって訳じゃないのですが、元々、ドトールコーヒーと共に育ってきたようなものなので、久しぶりに去年買った『ドトール本(!?)』を開いてみました。このコーヒーチェーン店が日本に根付き始めてから相当の年月が経ちますが、根本的には殆ど変わっていません。「不易流行」を体現するが如く、”オレンジ系”の人間に活力を与えるイメージを持ち続けていられるのはなぜなんだろうか!?【この本を読んでみて、社長が若い時、”色彩心理学”を知らずしらずのうちに学んでいたのだという…当時、まだ”科学的マーケティング”という言葉すらなかった時代に、自らの”五感”だけを頼りにココまで引っ張ってきた…というバイタリティに畏れすら覚えますね】そのヒントを与えてくれる”活力本”です。
~コーヒーはヨーロッパでは”医薬品”がわりだった時期もあり、また、この”ドトール”【doutor】という命名も、鳥羽氏がブラジルへ渡航した際、当時サンパウロに住んでいた時の街の通りの名前:「ドトール・ピント・フェライス通り」に由来しているそうな。【ドトール”医師”はブラジルの医療に貢献した…として、彼の功績を称え付けられたらしい】さもありなん!?

・鳥羽 博道:『ドトールコーヒー 「勝つか死ぬか」の創業記 』〔日経ビジネス人文庫;2008-09-01〕

~ドトールの鳥羽社長【現会長】は1937年(昭和12年)生まれ…多感な時期を”戦争”で過ごした人なのだが、暗さは微塵も感じられない。ある意味、2009年の世界も、”金融危機”という”戦禍”で国土をメチャクチャにされた点では同じ筈なのに、国民の危機意識のなさ、否、”打ち手”がなく”茫然自失”状態に置かれてしまっているという現実との差はどこから来るのか!?ハタと考えさせられてしまった。この本では、将来への”明るい展望”が示されているので救われる。日本は、約10年前に今回と同じ危機を先取りし、何とかやり過ごし切り抜けてきたのだ【その時に、散々”戦犯捜し”もした筈だ】から、そろそろ前を向いてもイイ時期ではないか!?そんな強い”メッセージ”を感じた。日本は、まだまだこのまま沈没するような国ではない。それに、逃げ出したくとも行く先はない。ならば、タイタニック号ではないが、この国と積極的に”運命”を共にするべきではないか!?そういう気にさせられてしまう…不思議な本でもある。その先には、今や”哲学者”の領域に足を踏み入れつつある鳥羽氏の好きなコトバ:「因果倶時」【現在の一分一秒が将来につながる】の境地に辿り着けるのではないだろうか!?要するに、「四の五の言わず、働け!」ということなんだろうと思う。

『ドトールコーヒー 「勝つか死ぬか」の創業記』画像

コーヒーメーカー画像

2009年 6月 2日 Posted by | Business, Economy, History | , , , , | 2件のコメント

「ネット生保」へのアンチテーゼ…!?〔オマケ〕

アイリックコーポレーションのヘッダー

アイリックコーポレーション
「保険クリニック」
「保険選びナビ」

~最近の何でも”ネット化”【注:”クラウド化”ではない!念のため】という風潮に敢て背を向け、この会社は徹底してお客様に”寄り添う”道を選んだようだ。
例えば、I/F【インターフェース】に「保険クリニック」や「保険選びナビ」などのキャッチャーな仕組みを用意し、”ネット・ユーザー”の動線にさりげなく”寄り添って”いる。昨今のお客様は、先ず”ネット検索”から…という顧客動線をシッカリと押さえている。
その上で、「必要な情報を得たら、最寄の店舗(クリニック)へお越し下さい…」と、さりげなく誘導する。例えば、お客様にとって比較的高価な買い物である”住宅”や”自動車”に対するアプローチ方法をつぶさに研究し検証した成果をネット・ビジネスに当てはめたらこうなった…という感じだろうか!?
やはり、このようなWEBサイトに出会うと、ネットは既に認知されなくてはならぬインフラにもなってはいるが、購買行動の側面からすれば、あくまで一つの”チャネル”でしかないことを強く印象付けられる。それでも、この会社は、ネットを”正しく”活用している好企業だと言えるのではなかろうか!?

※最近、病院や歯科医院や美容院にエステサロン・ヒーリングサロンといった、一種の”医療行為”を行なう施設(店舗)のWEB化が顕著である。これらの業種は、弁護士・税理士・公認会計士などの「士業界」に次いで広告・宣伝を打ちにくい業種である。いくらキレイなWEBサイトを制作したとしても、それがそのまま顧客(患者)増につながらないところが痛し痒しといったところだろうか!?確かに、ホームページがキレイだったからその病院(お店)を選びました…といことにはならないからである。実際、一見うらぶれた町の接骨院(整骨院)なんかの動画のほうが、却って”信用”でき微笑ましく思えるのはなぜだろうか!?

☆例えば -

ドガプラス【DOGA PLUS:接骨院(整骨院)編】 ← 動画専門の制作業者!!
愛心治療院【愛知県名古屋市】 ← コンテンツが豊富で具体的!!
品川接骨院グループ ← TVで紹介されたり、積極的広告で有名!!

~日本は、世界でも有数の”ブロードバンド大国”となり、ネットインフラに関しては先輩国のアメリカをしのぐまでにもなった。実は、ブロードバンド(ネット)は”動画”とこそ「親和性」が良いのだ。その割に既成のメディア【TV局や新聞社など】にさほど”危機感”がないのが不思議でならない。来る《地デジ化》でいずれ真実は明らかになるだろうが、日本の電波法制【規制】で最大の”矛盾”を孕んでいるのが”CATV事業”なのである。緊急用のインフラも兼ねるため、最も”信頼性”が高いのはCATVなのに…

★この辺りの《動画事情(メディア裏話)》をより詳しく知りたい向きには -

・小寺 信良:『メディア進化社会』〔洋泉社ペーパーバックス;2007〕

~所収の「第2章 腐ってもテレビ!?【テレビ論】」の中の《被災地を支える地元ケーブルテレビの死闘【前編・後編】》や《テレビコマーシャル時代の終わり》や《在郷に「テレビの灯」を点し続けた男》ならびに《デジタルテレビに潜む危険と脆弱性》などに詳しいので、ご参考になさって下さい。

『メディア進化社会』画像

♪fitted BGM〔Poogie Bell Band〕:Little Wing performed by Poogie Bell Band from “Get on the Kit”, 2007
【↑ ※リンクをクリックすると、WMP:WindowsMediaPlayerが立ち上がり曲が聴けます※↑】
※懐かしい「小さな翼」…ボーカルが切なく歌い上げているのが何ともイイ。これからは、”縮小均衡”だよってか!?

2009年 5月 16日 Posted by | Business, FP, IT-WEB, LP, Money | , , , , | コメントを残す

「ネット生保」の時代…!?〔その②〕

今日は、昨日のライフネット生命より早く登場した《ネット生保》…SBI-AXA生命について。これは、日本のSBI系と外資のAXA生命の合併(合弁!?)により誕生したものらしい。

SBI-AXA生命

~これは「ネット完結型」生保をうたってはいるが、実は、目新しいビジネスモデルではない。言ってみれば、保険(生保)業界の《価格ドットコム》みたいなもので、外資系損保(自動車保険)のAXA-DirectなんかのI/F【インターフェース】をそのまま生保(死亡保険)向けに移植したような感じだ。損保や医療・傷害・介護保険などは”リスク算定”が比較的しやすいため、その”算定方程式”を生保向けにブラッシュアップしたものと思われる。

むしろ、このように何でもかんでも”ネット化”されてしまうと、業界に数十万人はいると見られる”保険のオバチャン”たちなどの職員の人たちはどうなってしまうのだろう!?と、心配になってしまう。高額な生命保険(死亡保険)に加入する際は、医師の”診査”が必要な筈だが、これなども《簡易診断》や《健康診断書》で済ましてしまうのだろうか!?

最近の風潮を見ていると、かつて、眼鏡屋さんが眼科の《処方箋》を必要としなくなり、独自の医療検査機器を導入しどんどん”独立化”していった経緯を思い出さざるを得ない。もし仮に、眼鏡が合わずそれで眼病にかかったとしても、その時にかかりつけの眼科は最早ないのだ。人間の身体や生命がどんどん軽んじられていっているような危機感を覚える。

♪fitted BGM〔Bill Meyers〕:Valdez In The Country performed by Bill Meyers, 1996
【↑ ※リンクをクリックすると、WMP:WindowsMediaPlayerが立ち上がり曲が聴けます※↑】
※今から一回り以上前の1996年、世の中はこんな”シンセ”音楽に満ち溢れていたんだっけね!?

2009年 5月 15日 Posted by | Business, FP, IT-WEB, LP, Money | , , , , | コメントを残す

「ネット生保」の時代…!?〔その①〕

とうとう、”生保”の世界にも《ネット生保》が現れた。ネット全盛期に入る前は、「TV通販」で外資系の損保(自動車保険)や医療保険を販売するものが主流だったが、【AflacやAlicoやチューリッヒ保険など殆どが外資系】今回は、”国産”の《ネット生保》が登場した。

ライフネット生命

ライフネット生命、出口社長のインタビュー【マイコミジャーナル】

業界初!保険の原価を開示したライフネット生命に業界から怨嗟の声【ダイヤモンドオンライン)

~いわゆる(ネット)通販型のビジネスとしては、自動車業界でトヨタが”ネッツ”を展開しそれなりの成功を収めたことが記憶に新しい。当時、若者の”クルマ離れ”と共に”カウンターセールス嫌い”が話題になっており、”ネッツ”には展示車とコンパニオンの女性だけという《覆面ショップ》のような色合いがあったものだ。但し、その間、トヨタは自社ホームページを充実させ、WEB(バーチャル)⇒店舗(リアル)への誘導…という新たな”チャネル”を確立したとして、目新しさと共に称賛された。その”保険版”に近い試みである。通常、保険(生保)の加入適齢期は「30代」と言われるが、その《R-35世代》は”ネット世代”でもある。この意味で、トヨタと同じく極めて”合理的”な試みであると思える。

※尚、これを機会に保険(生保)のことを少し勉強し直そう…と思ったら -

・中村 芳子:『新版 図解 生命保険のカラクリがわかる本 - 行列ができる”保険相談室” 本日開設!』〔東洋経済新報社;2003-01〕

~2003年の”新版”だが、理論的には少しも色褪せてはいない。むしろ、去年の”リーマンショック”まではアメリカ発の金融資本主義がもてはやされていただけに、今読み直す価値がある。損保(自動車保険)や第三分野(医療・傷害・介護保険)などは外資に解禁され、彼らは(TV)通販などに注力したが、不思議と”純然たる”ネット生保はなかった。昨年辺りから、国産の生保で”ネット化”の動きが見え始めた…というのは、皮肉な現象ではある。【ネット・チャネルの創始者:トヨタは創業以来初の赤字に転落し、若者のクルマ離れに歯止めもかかっていない】

『新版 図解 生命保険のカラクリ』画像

♪fitted BGM〔Poogie Bell Band〕:Dark & Happy performed by Poogie Bell Band from “Get on the Kit”, 2007
【↑ ※リンクをクリックすると、WMP:WindowsMediaPlayerが立ち上がり曲が聴けます※↑】
※稀代のロッカー:忌野清志朗さんが亡くなった…たまには、こんな”ハード”なロックもいかが!?

2009年 5月 14日 Posted by | Business, FP, IT-WEB, LP, Money | , , , , | コメントを残す

『クラウド・コンピューティング - ウェブ2.0の先にくるもの』

今日もIT(コンピューター)についての話題で…この本は、Google後の世界、つまり、WEB2.0に代表されるネットのあちら側の《彼岸》にシステムのコアを置く形態こそ、「クラウド・コンピューティング」の実像であるとして、現在に至るまでのIT-WEB界の潮流をポジティブかつ肯定的に捉えている。

・西田宗千佳:『クラウド・コンピューティング - ウェブ2.0の先にくるもの』〔朝日選書#154;2009-01-30〕

~これは、現在のIT-WEB界の”実態”を知る本としては好適。それ以上でもそれ以下でもない…

『クラウド・コンピューティング』画像

♪fitted BGM〔Philippe Saisse〕:Feelin’ Kinda Sexy performed by Philippe Saisse from “Next Voyage”, 1997
【↑ ※リンクをクリックすると、WMP:WindowsMediaPlayerが立ち上がり曲が聴けます※↑】
※こういうのを”COOL”というのだろうか!?音もスカスカだけど、クラウド・コンピューティングの中身も似たようなもので、実は、「仏壇作って魂入れず…」の世界と何ら変わらないものなのかもしれない…

2009年 5月 7日 Posted by | Business, History, IT-WEB | , , , , | コメントを残す

『クラウド化する世界 - ビジネスモデル構築の大転換』

今日もIT(コンピューター)についての話題で…人類の文明史の中で、火と電気とIT〔コンピューターやインターネット〕の発明の歴史を振り返り、私たちはどこから来てどこへ向かおうとしているのか!?を平明に解説してくれている好著。中でも、”ハードウェア”と”ソフトウェア”の《二極構造》と共に、それを支える”通信インフラ”を合わせた《三層構造》の確立により、人類史は新たなフェーズに入ったとしている…

・ニコラス・G・カー〔村上彩訳〕:『クラウド化する世界 - ビジネスモデル構築の大転換』〔翔泳社;2008-10-09;原題:”The BIG SWITCH:Rewiring the World, from Edison to Google〕

~とにかく、文明通史として読むだけならば、これほど面白くワクワクする本はないだろうと思う…

『クラウド化する世界』画像

♪fitted BGM〔Philippe Saisse〕:Phar Cry performed by Philippe Saisse from “Next Voyage”, 1997
【↑ ※リンクをクリックすると、WMP:WindowsMediaPlayerが立ち上がり曲が聴けます※↑】
※科学技術”礼賛”で明るい希望に満ちたアメリカが泣いている…自らの手で生み出した”金融工学”という鬼っ子に母国を破壊されてしまったのか!?宴の後のはかなく切ない疲労感が滲み出る曲で…

2009年 5月 6日 Posted by | Business, History, IT-WEB | , , , , | コメントを残す