Dense2's Blog Weekly

~『週刊電説』【Just Another KissBlog】

★データ・ストレージ技術で蘇る”黄泉の国”…!?

☆今日は全国的に「お盆」ですね…なので、お盆にふさわしい(!?)話題を。

~先週は、梅雨明けにも関わらずの”集中豪雨“と、お盆直前の台風通過に静岡県【駿河湾】内での”大地震“と災難続きでしたが、今年の異常気象も含め、何やら大きな波乱の前兆のような気がしてなりません。いろいろな意味で、ご自愛下さいませ。

・服部 真澄:『エクサバイト〔エクサバイト』〔角川書店;2008-01-31〕

~これは、”おぞましい“近未来小説です。初めに読んだ時は、ITがこのまま発展していけば多分こんな社会になっているんだろうなァ!?とのん気に考えていましたが、再読してみると、何とも形容し難い問題提起を含んでいることに気づき、愕然としました。【去年、いろいろな雑誌などの書評欄でも取り上げられていたのですが、ウッカリ忘れていました】

服部真澄:『エクサバイト』〔角川書店;2008-01-31〕画像

★神話や歴史は、間違いなく”正しい“ものなのか!?

  • 誰の心の中にもある、歴史に名を残したいという願望…
  • ~この小説に出て来るような、《ユニット》人生記録システム/メディア】があったら、誰もが、特に、”フェイマス“な人であればあるほど、歴史に名を留めたいという《自尊欲求》は強くなる…という”マズローの法則“を持ち出すまでもなく、人は、自己の生きた証を記録・保存したいと思うものらしい。そこに、”データ・ストレージ“技術と連動したこのサービスが生まれる余地がある…という

  • もしも、その死後100年の時を経て、死者の”記憶“が限りなくリアルに近い”記録として修復され蘇るとしたら…
  • ~まるで怪奇ミステリーのような話だが、現在のITの延長線上でなら、確かに、上述のことは実現不可能ではない気がしてくる…ただ、そこには、プライバシーの問題(死後)著作権の問題相続権の問題、それに、神話の編纂権歴史の編集権といった、複雑な問題が絡んでくることは否めない。文字通り、「死者に口なし」なのだから、故人の尊厳を保ちつつ、かつ、その係累に悪影響が及ぶことなく、《神話》【正史】を正しく”再構築“する…という作業は、絶望的なほどまでに困難なことでもあるかのように見える

  • アメリカの”愛国者法“と”個人情報保護“【プライバシー保護】との間に横たわる大きな溝
  • ~この小説を読んで真っ先に思い浮かべたのは、アメリカの”愛国者法“と”Google“の関係だった。愛国者法は、あの《911テロ》以後、国家に国民を監視する権利を認め、場合によっては”盗聴“もできるようにした。一方、Googleは、体良く言えば”検索エンジン“ではあるが、その実体は、ネチズンとしての”ネット市民“の活動履歴の監視役トレーサー】であると言えるのかもしれない。日本では、検索エンジンはYagoo!が好まれて使われているようだが、実は、Yahoo!の検索プログラムのコア部分はGoogleのものなのである。ということは、検索エンジンの80%以上のシェアを握っている…と言われるGoogleのデータ・サーバー【DB:データベース】には、私達日本人はもちろんのこと、ほぼ全世界のネット行動履歴がログとして記録・保存されるワケであり、これはあまり気持ちの良い状況ではないと言えなくはないだろうか!?私達は、ネットでの”利便性“と引き換えに、自己のネット活用上の”(データ的)特性“を無意識に提供していることとなり、だからこそ、”Amazon“とかからレコメンドという名のお勧めサービスなどを受けられるのだ…ということを忘れてはならない【利便性とプライバシー保護は”トレードオフ“の関係にあるのだから、もしも、プライバシーが暴かれることを恐れるのならば、現行のシステムでは、ネットは一切使わないという選択肢しか残されていないように見える】

※それでも、人々はネットを使うことを止めないのだろう…否、止められないのかもしれない!?今や、ネットやケータイのない世の中なんてあり得ない。それこそ、一般人がこぞって綴る”ブログ”でさえ、一種の《生前葬(の予約あるいは遺言)》と見なされ、その死後100年の時を経て、係累などの手によって新しい”秘史“【メモリアル墓標】として再構築されるということはアリなのかもしれない…

2009年 8月 13日 - Posted by | History, IT-WEB | , , , , , , , , , , , , , ,

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