Dense2's Blog Weekly

~『週刊電説』【Just Another KissBlog】

『都(みやこ)と京(みやこ)』

※今日はオフ二日目…なので、再び”京物”で。
~元々、幼少期から関東と関西を通算で”三度”も行き来しただけにどちらの文化もよく分るし、父と弟の大学が京都だし実家も電車で一駅乗れば京都府だという京都”周縁”一家に育ったせいで、関西にも長く住んだ割には、大坂のことはあまりよく知らないのです。【神戸に住んだこともありますがね】ただ、阪神大震災以降、関西の経済は長らく落ち込んだままのような感じがしますし、初めて大阪へ引っ越した時【あの大阪万博の直前】のほうがもっと”元気”だったような気がします。それに、京都・大阪・神戸の”三都”も、いつの間にか千葉・東京・横浜などの首都圏と似てきて、却って”ツマンナイ”印象を抱いてしまうのは私だけなんでしょうか!?そんな中、やはり”独自性”の輝きを放てるとしたら、それは、京都や奈良などの古都しかないと思うのですが…どうでしょう!?

・酒井 順子:『都(みやこ)と京(みやこ)』〔新潮文庫#さ-23-9;2009-03-01〕

~東女だが”KYOTO“にずーっとハマり続けているエッセイスト(コラムニスト)の酒井順子女史。近年は、同性向けの”啓蒙本”みたいなものを立て続けに出していらっしゃるが、多分、現代の”清少納言”でも目指しておられるのだろうと思う。(笑)自分のような東西両文化に挟まれて育った人間からすれば、どうしても”京都弁”でイジってみたくなる人でもあらっしゃいます。

『都(みやこ)と京(みやこ)』画像

※では、簡単に、目次に沿って立ち読みを -

《はじめに》:みやこ人と都会人
~自分の場合、父が亡くなり菩提寺が知恩院となって以来、京都とは「ブラリ観光気分でお墓参りにも行ける”身近”な場所」…という風に変わりました。それまでは、中高生の修学旅行の定番スポットとか、ガイジンに受ける京都というイメージしかなかったのですが、小泉内閣末期の”YOKOSO Japan“政策と全世界的な”COOL Japan“ブームが相乗効果を起こしたとは思います。最近は、アジアの韓国・中国・台湾などから大挙して観光客が押し寄せるようにもなり、京都駅周辺は以前とはスッカリ様変わりした印象もありますね。それでも、やはり、京都は好きです…

《言葉》:いけずと意地悪、もっさいとダサい
~個人的には、柔らかい京都弁の中でも”はんなり“という表現が一番好きですね…江戸弁は濁音が多いのでキツク聞こえ、京都弁はそれが少なくゆっくり話すので柔らかく聞こえるのだそうな。言葉の暴力というのがある時代ですから、尚更見直されるのかもしれません。【若い女性が語尾を伸ばす話し方をするのは、ある意味、”京風”と言えるのかもしれません】

《料理》:薄味と濃い味
~これは、自分の家では一時期大問題でした。例えば、麺類で言えば、母はガチガチのうどん党で私は頑として蕎麦派。調味料でも、ソースに拘る関西と醤油命の関東という風に、明らかな違いがありますが、私は”両刀使い”なのでどちらでもイケる口でした。【我が家は納豆アレルギーもありませんでしたが、たこ焼きよりは焼きソバって感じで…ただ、うどん定食にごはんという組合せやラーメン&ライスという組合せにはあまり馴染めませんでしたね】その一方で”マヨラー”でもあります。

《節約》:始末とケチ
~これを言うなら、「江戸の見栄っ張りと京の始末」でしょう!?関西には”セコい“という表現がありますが、関東では”こすい(こすっからい)”という表現になってしまう。長い間戦乱に巻き込まれてきた京都にあっては、そこで暮らす町家の人たちはどうしても”生活防衛“意識が強くなってしまう…しかも、ココには帝がおわしますという土地柄ですから、自然と普段の暮らしには良い”始末“をせざるを得なかったのではないでしょうか!?

《贈答》:おためとお返し
~この項は、個人的には全然知りませんでしたね…京都弁の”おため“とはいわゆる「返礼」【お返し】のことであり、それも、本人へ《直接、現金で手渡す》のが礼儀だなんて。ウ~む、そんな風習あったっけなァ!?むしろ、”外交辞令”としての京都特有の”はんなり語“のことか!?と思っていただけに…

[コラム:平安京体感・朱雀大路を歩く]
~これはもう、本文をお読み下さい

《高所》:比叡山と東京タワー
~東京には山がない…というのが通説のようですが、その代わりに(超)高層ビル・マンションが林立していますね。翻って京都は、東西南北四方【南方だけは、八幡市の”男山”としています】を山々に囲まれているので、東京から乗り物で来て京都駅に降り立った時既に景観が全く違うのです。特に、京から見て”鬼門”【東北】の方角に建てられた比叡山延暦寺は、京の”守護神“とも言えるシンボル的存在。東京に長く住んでいると息が詰まるような気分になるのは、人の多さや人口密度の濃さだけでなく、この(超)高層ビル・マンション群による”心理的圧迫感”に拠るところも大きいのではないでしょうか!?【だから、私は今は千葉市に住んでいます…】

《祭り》:祇園祭と高円寺阿波おどり
~これは比較と言うか!?ペアリングの組合せにエッ!?と思いましたが、夏の”風物詩“の比較だということにしておきましょう。ご承知の通り、京都の夏は、”祇園祭“に始まり、”大文字五山送り火“に終わる…とされていて、意外にも、”花火“が主役になることはありません。【何度も火事や戦乱で焼けているだけに、”火”に対するアレルギーがあるのかもしれません】しかも、”神事“や”宗教行事“を連想させるものが多いのも特徴ですね。

《流通》:市場(いちば)と市場(しじょう)
~これは、なかなか目の付け所が良い”好コラム”だと感じました。東京にあるのは巨大な集配機能を持つ「市場(しじょう)」がメインで、京都にあるのは”地産地消“を旨とした「市場(いちば)」である…と。それも、「朝市」とか地域のコミュニティーと密接に結びついたものが殆どで、いわゆる”行商“【振り売り】の仕組みも根付いている…ということですね。天皇【帝】が東京へ下向されても庶民の暮らし向きは変わらない…というのは、”千年の都“の持つこうした”始末上手“な県民性と関連しているのではないでしょうか!?

《神仏》:観光寺院と葬式寺院
~この対比は、いかにも京都という街の持つ”両義性“【アンビバレンツ】を言い当てていると思います。当家の菩提寺である知恩院も、菩提寺でありながら、一方では浄土宗の総本山ですから、日々、観光バスを連ねて全国から信徒さんたちが集ってきます。東京では、葬式などは地元の公民館みたいな所で簡便に済ます家も増えてきていますから、尚更この違いは際立っていますね。

[コラム:京都・同業者町の愉しみ]
~これも、本文をお読み下さい

※ココまで、本の半分くらいを見てきました。
~これから先は、私なりの”京都観“を開帳させていただいて、結びとします。

= 京都的なるものエッセンス =

・人を見れば、”余所者“だと思ってあらっしゃる【但し、”排他的”な意味ではあらしまへん】
・その上で、”お客はん“として、”おもてなし”の心で接してくれはります
・実は、京都人は、「凄い!」とか「うわぁ!」とか、”感嘆“や”賞賛“の言葉を耳にすることは別に嫌いではあらしまへん【心の中では嬉しいんどす】
・京都人といっても、京の中心地は町家が多いので、この本に出てくるような生粋の”京都人“と出会えたり知り合えることは殆どおまへん【大抵の人は京都”府民”やし、代々続く”名家”のお人は、大体が人目に触れる所へはお出ましになりまへんよってに】
・新幹線の乗り入れている”京都駅“はJR東海はんの縄張りやよってに、本来の”JR西日本“の出番は少ないんどす【これは、”奈良“についても、似たような按配になってるようどすな…ジャックされてもうて難儀なことになってんのとちゃいますか!?】

…お後がよろしいようで。

♪fitted BGM〔Boney James〕:Kyoto performed by Boney James, 1993
【↑ ※リンクをクリックすると、WMP:WindowsMediaPlayerが立ち上がり曲が聴けます※↑

2009年 6月 4日 - Posted by | History, Kyoto | , , , , , ,

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