Dense2's Blog Weekly

~『週刊電説』【Just Another KissBlog】

今そこにある幸せに満足できない症候群〔その②〕:『売り込み』

今日は《エンドレス症候群》と呼ばれる、”今そこにある幸せに満足できない症候群”の小説の最新作を…今度の主人公は、苦節十数年で”アラフォー”を目前にアメリカン・ドリームつかんだ脚本家。たちまちのうちに「売れっ子作家」の仲間入り…と、ココまではよいのだが、そうは簡単に問屋は卸さない。西海岸:ロサンゼルスの権謀術数渦巻く社交界での”金と権力と女”にまみれたスキャンダルに巻き込まれていく…果たして、この脚本家の行方やいかに!?

・ダグラス・ケネディ(中川 聖訳):『売り込み』〔新潮文庫(ケ-12-5);2004-12-01〕

~最近では自ら「売り込む」すなわち”Presentation”や”Proposal”などという言葉は珍しくもなくなったが、人間、追い詰められるとこうまで浅ましくなるか!?というところまで、主人公の内面心理を独白口調で忠実になぞりながら、しかし、アメリカン・ジョーク(!?)も散りばめて、前作:ビッグ・ピクチャーのような重苦しさはない。【今回は、一人も人を殺さないので救われる】いずれにせよ、この作品はなかなか”詩的”でもあり、実際、エミリー・デキンソンの詩が随所に引用されている…

『売り込み』画像

♪fitted BGM〔David Sanborn Band〕:Crossroads performed by David Sanborn Band from “The Super Session Ⅱ”, 1998
【↑ ※リンクをクリックすると、WMP:WindowsMediaPlayerが立ち上がり曲が聴けます※↑】
※この曲には、昔Cream時代に散々に演ったEric Claptonが飛び入りで参加…David Sanborn Bandに相棒(!?)のネーザン・イースト(B)も居たので、彼も少し面食らった表情で演奏している…

2009年 5月 12日 Posted by | Psychology | , , , , | コメントを残す

今そこにある幸せに満足できない症候群〔その①〕:『ビッグ・ピクチャー』

今日は《エンドレス症候群》と呼ばれる、”今そこにある幸せに満足できない症候群”の小説を…この主人公は、一見”順風満帆”に見える家庭生活を送っていたが、フとした偶然から妻の浮気の現場を見てしまい、それ以後、強迫神経的に【現実を直視したくないため】嘘に嘘を塗り重ねることになる。しかし、そんな生活が長続きする筈もなく、彼はチョットした弾みでその妻の不倫相手を殺してしまう…本人は弁護士だ。「さて、どうするべ!?」というどん底の状態から彼がどう這い上がっていくか!?

・ダグラス・ケネディ(中川 聖訳):『ビッグ・ピクチャー』〔新潮文庫(ケ-12-1);1998-07-01〕

~主人公はストーリーの中で二度までも”死ぬ”ことになるのだが、それが、『007は二度死ぬ』【だったっけ!?】を思い出させるようでもあり、妙に懐かしい。一般の普通の生活者でも、「心の中では、こういうことってあるかも!?」と思わせる、スリラーいやサスペンス小説である。著者は、この本の成功で《悪夢路線の大家》という”名声”を確立、後に、ディズニーが巨額の資金でこの作品の「映画化権」を購入したそうな…【あちこち探してみたが、映画のDVDとかは見つからなかった】

『ビッグ・ピクチャー』画像

♪fitted BGM〔David Sanborn Band〕:TuTu(Resurrection Blues) performed by David Sanborn Band from “The Super Session Ⅱ”, 1998
【↑ ※リンクをクリックすると、WMP:WindowsMediaPlayerが立ち上がり曲が聴けます※↑】
※この曲は、元々はMiles Davis Bandのものだが、師匠:マイルスに捧げるつもりで、その弟子たちがDavid Sanborn Bandに参加し、ココではCassandra Wilsonが飛び入りで歌っている…

2009年 5月 11日 Posted by | Psychology | , , , , | コメントを残す